2019年の阪神タイガースと言えば矢野監督就任1年目の年です。ドラフト1位で阪神に入団した近本選手にとってもプロ1年目でさっそく勝負の年です。
2019年シーズンを振り返るとチームはセリーグ第3位のAクラスでフィニッシュ。前年の最下位からAクラス入りを果たし大きく前進する1年となりました。
そんな阪神タイガース躍進の年に欠かせない存在だったのがルーキーの近本選手でした。
ルーキーながらチームを牽引し、数多くの新人記録を樹立しました。
ということで、近本選手の2019年シーズンをデータと共に振り返っていきます。今回は打撃編です。
目次
近本光司 2019年打撃成績
近本選手の2019年シーズンの打撃成績を見てみます。

出場試合数は142試合で出番のない試合は1試合だけです。新人なのにスゴイですね。
シーズン通して640打席もバッターボックスに立っています。これはセリーグで第2位の多さです。もちろんチーム内で一番の多さで完全に虎のリードオフマンです。
ヒットは159本放ちました。これは長嶋茂雄さんが持っていたセリーグ新人安打記録を61年ぶりに更新する素晴らしい記録となりました。
ホームランは惜しくも二桁に届かず9本、打点は42を記録しています。
盗塁は36個で盗塁王のタイトルを獲得しています。新人で盗塁王獲得というのは赤星さん以来となる日本プロ野球史上二人目の快挙です。
そして打率は.271、出塁率は.313となっています。
右投げ・左投げの投手どちらにも結果を出しており、左投げ投手を苦にするタイプでは無いようです。阪神の野手はとにかく左投手に弱いので、これは好材料と言えます。
シーズン通しての活躍について
近本選手の2019年シーズン通しての活躍を見てみましょう。

これは近本選手の2019年シーズンの打撃状態をチャートで示したものになります。シーズン中のいつ調子がよかったのか、いつスランプだったのかということが分かります。
近本選手のルーキーシーズンで言えるのは
波が激しい!
ということです。
シーズン開幕から振り返ってみます。
開幕早々
近本選手は2019年シーズンの開幕スタメンを任されます。2番センターです。同じくルーキーの木浪選手も開幕スタメンを勝ち取っており、1番を務めました。
1番木浪、2番近本の”キナチカ”も2019年は話題となりました。
近本選手は開幕戦でチームを勝利に導く大きな仕事をやってのけます。ビハインドから同点となる3ベースヒットを放ちプロ初安打、初打点を記録します。守備でもセンターからバックホーム返球でランナーを刺しピンチを救いました。
しかし、開幕戦以降、結果を残すことができませんでした。同じくルーキーの木浪選手もヒットが出ない極度のスランプに陥り、早々に”キナチカ”はスタメンから外れます。
近本選手は4月7日~11日はベンチスタートで試合に出れない日もありました。そのころはセンターに中谷選手が入りますが、こちらもイマイチ爪痕を残せませんでした。

近本選手は4月11日に代打出場でプロ初ホームランを打ちます。これをきっかけにスタメンに復帰します。
スタメン復帰後は安定した成績を残します。ホームランも4月だけで4本も放ち、足だけではなく長打力も持っていること示します。
4月は大山選手が6本、中谷選手が4本のホームランを放っています。近本選手は阪神で長打力のある選手達にも劣らない力を示すのです。
なかでも横浜DeNA守護神の山崎から放った逆転ホームランは大変価値がありました。球界を代表するクローザーから広角に打った打球がレフトスタンドポール際に突き刺さり、監督の矢野ガッツも出ました。
ゴールデンウィークの大活躍

4月前半はチーム状態が悪く借金生活でした。最下位だったときもありました。開幕から8試合連続3得点以下&1ケタ安打と貧打に苦しみました。
なので開幕早々「今年もダメか…」という空気が流れました。
ところが4月後半にチーム状態が上がってきます。ゴールデンウィーク期間の10連戦では7勝3敗の好成績を残しAクラスに復帰、貯金生活となります。
そのときチームを牽引した一人が間違いなく近本選手です。
近本選手はこのときに13試合連続安打を記録しています。これは球団新人記録です。
この頃は近本選手が打って走っての大活躍で「近本が塁に出るとチームは勝つ!」みたいな感じで新聞紙一面を賑わせました。開幕から5月末までで近本選手が1番を務めた阪神の試合成績は23勝16敗2分と大きく勝ち越しています。
完全にリードオフマンとして欠かせない存在となるのです。
交流戦でのスランプ
近本選手は5月の中旬に背中の張りを訴えます。初シーズンにも関わらず毎試合のように出場してきたことで疲労が溜まってきたようで、打撃不振になるときもありました。
しかしルーキーとは思えない修正能力で盛り返します。完全にスタメンの地位を確立しました。
ところが交流戦に入ってから極度の不振に陥ります。交流戦18試合の打率が.165と打撃が振るいません。調子が悪くなったら打球が上がらずゴロが多くなるように感じます。
そして交流戦はチーム成績も6勝10敗2分と厳しい戦いとなってしまいました。
オールスターでの軌跡
交流戦ではスランプに陥っていた近本選手ですがオールスターが近づくにつれて調子が上向いてきます。
そして迎えたオールスターですが近本選手は新人ながら選出されています。
阪神甲子園球場で開催されたオールスター第2戦目で近本選手はとんでもない活躍を残します。
第1打席:先頭打者ホームラン
第2打席:右二塁打
第3打席:右安打
第4打席:左二塁打
第5打席:左三塁打
なんと新人ながらにオールスター史上2人目のサイクル安打を達成します。とんでもない活躍でこの試合のMVPに輝きます。新人ながらミラクルを起こします。
この試合では近本選手以外の阪神野手の原口選手と梅野選手もホームランを放っています。甲子園球場ということもあり、それはそれはお祭り騒ぎのオールスターでした。
直近のオールスターはセリーグが5連敗していました。この試合でようやく連敗がストップしました。セリーグの連敗を止めたのは阪神勢のおかげと言ってもいいのではないでしょうか。
特に連敗中にセリーグを指揮していたのは広島の緒方監督でした。やっと勝ててよかったですね。
記録の嵐の後半戦

近本選手はオールスターを契機に後半戦は好調を維持します。その後調子に波はあるものの結果を残し続けます。
そしてシーズン終盤に入り、シーズン通して積み上げてきた数字が実を結び始めます。数々の新人記録を更新していくのです。
- 9月5日 シーズン137本目のヒットを放ち2016年高山が記録した球団新人安打記録を更新
- 9月12日 2001年赤星以来となる18年ぶり球団2人目となるシーズン30盗塁到達
- 9月16日 シーズン41度目のマルチヒット 坪井以来となる球団新人記録を更新
- 猛打賞は13回記録 球団新人記録最多タイ
- 9月19日 シーズン154本目のヒットを放ち長嶋茂雄さんのセリーグ新人安打記録更新
- 最終的には新人として歴代3位となるシーズン159本のヒットを記録
- 新人としては2001年の赤星以来の日本プロ野球史上二人目の盗塁王を獲得
- 阪神選手でのタイトル獲得は2014年マートン首位打者・ゴメス打点王以来4年ぶり
- 阪神生え抜き選手では2011年鳥谷の最高出塁率以来のタイトル獲得
- 新人特別賞獲得
シーズン開始時に近本選手がこれだけ多くの記録を作ることになるとは、誰も思っていなかったでしょう。
まとめ
野球とは関係ありませんが、近本選手はグラウンド外にも影響を与えています。
- 2019/12/13 関西学院大学の学長賞(第一号)
- 2019/12/18 淡路島のスポーツ親善大使に就任(任期2年)
皆さん、こんな新人みたことありますか。
チームで一番調子の波が激しかったことは事実ですが、ルーキーとして素晴らしい活躍でした。
早いカウントから積極的に打ちに行ける打撃スタイルに加え、利き腕が左である真の左打者なのでボールを押し込むことができ、強い打球を飛ばせる魅力があります。
阪神でリードオフマンを任せられるのは近本選手しかいないでしょう!
盗塁のほうも連続でタイトルが取れるように頑張ってもらいたいですね。足の速いライバルは梅ちゃんにバンバン盗塁阻止してもらいましょう!(笑)
次のシーズンも怪我のない活躍を祈っております。
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